紀田順一郎《デジタル書斎活用術》と《インターネット書斎術》

 想像とは異なり、いずれも2002年に出版された本であった。前者の帯には「個人の『知的生産』のための『電脳』書斎づくり」とあり、後者には「四畳半を大博物館に」「早い検索法、調べものの極意、書斎づくりのコツ…知的生産のためのインターネット徹底活用術」とある。
 そしてまた想像とは大きく異なり、机の脚を切ったりするような話は出てこない。デジタル時代の机として、紀田氏が吉備高原都市の第2のオフィスへの導入を検討したのは米レヴェンジャー社のEuro DeskをL字に並べる方式と、ハーマンミラー社のイーソスペースであったそうだ。また、仕事椅子の機能を満たしたのはアーロンチェアであったとキャプション付きの写真で紹介されている。アーロンチェアの調整については言及があるが、要するに椅子のパラメータ設定だけで満足できる状態に調整可能なのであろう。ちなみに紀田氏の当時のハードウェアは、写真から見る限り初代のCRTディスプレイ一体型iMacと割と小柄なLCDディスプレイ一枚のWindowsマシンの2台とお見受けした。まだまだシングルディスプレイでお使いだったのだろう。
 《活用術》の参考文献リストで紹介された本をあげておく。愛媛出身のイラストレータ真鍋博氏が編集された31年前の本である。ミー空間というのは、誰にも干渉されることのない空間という意味なのであろうが、筆者などはつい「ミイト緯度の指」を連想してしまう。海底島に住んでいた時期を境に作風が一変し、書物収集家であったのに島を離れたのちすべて処分してしまったピラルイのことを。

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