西先生をもてなす

 CEOが一度行ったことのあるインド料理店を予約してくれたので、西先生のアサインメント終了を待ち構えて出遊。
 道中イルミネーションを観ながら、西先生は日本人が仏教徒神道イストもろびとこぞりてクリスマスを祝っているのには違和感を感じるとおっしゃっておられた。
 インド人のシェフが腕を振るう有名店で、タンドリーチキンセットをオーダーし、カレーはキーマ、ごはんものはナンを選ぶ。CEOはエクストラでメニューで春巻きのように見えるマサラ・ドーサを注文したら、薄焼きしたLPレコードくらいのサイズのパンケーキみたいなのが丸まって出てきて吃驚する。それを切り分けてつけて食べるサワークリームが実に美味かった。タンドリーチキンを食べ終わった後のスープはスプーンですくってまろやかな味わいを堪能した。担々麺のスープの方がスパイシーなくらい、どめすてぃけいとされている。
 筆者にとっての本場のインド料理の試金石は、かれこれ四半世紀前に青山のインド料理のお店でいただいたもので、みんな紙ナプキンを襟首に差し込んで詰め襟にして汗の洪水を食い止めるくらいアヴァンギャルドであった。本日は汗ばむこともなく完食して大いに満足したのである。日本人の味覚に合せて絶妙なアレンジを施してあるということである。
 最後にお礼を申し上げるためにシェフを呼んでもらったら、『手前どもフクオカの人の味に合わせておりますので…」というようなことをおっしゃっていたのが印象的であった。西先生には「こんなの讃岐うどんぢゃないね」と叫んでいる四国人のような思いを味あわせてしまったのではないかと、少し反省。
 でもまあこれを文化的退歩とか妥協と考えなくても、食文化を異民族の感覚に合わせて進化させる懐の深さと(最初に戻って)なんでもアレンジして受容してしまう日本人の特性とで説明してしまってもよいのではないだろうか。

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