イプシロンロケット初号機打ち上げカウントダウン中断

 筆者は、1970年2月11日の昼下がりに、NHKで日本初の人工衛星おおすみの打ち上げが中継されたのを見ていた。そのカッパからミューへ世代交代があって、はるか、はやぶさすざく、あかり、ひのでなどの科学衛星や探査機がM-Vロケットで打ち上げられた。ミュー台地を訪問したのはすでに9年前で、はやぶさが往路の地球スイングバイを行った日であった。当時はコンクリートがボロボロになった火炎偏向板をじかに触ることもできた。破片を持ってくればよかったのにと残念なことこのうえない。
 そのミューからイプシロンへと固体ロケットの歴史が変わるのを目撃したいと念じてきた。打ち上げが8月22日から延期されて本日13時45分に設定されたのを知った時、中継を見ようと心に期するところがあった。
 13時25分から中継が開始され、いい感じで進行していたが、X-0以降発射台の上のイプシロンの画に「カウントダウンが中断されました」がスーパーインポーズしたままとなった。アクセス過重のために画が来なくなっただけで、本当は飛んでいるのではないかと思いたいところだが、非情にもタイムコードは正確なJSTを表示している。約30分後に中継は終了。
 NHKによると、「カウントダウンは打ち上げの15秒前までに中断し、打ち上げ用の電池が起動していないことが分かった」と発表された模様である。また、続報によると、バッテリ電圧が低いので、人工知能が独自に中止を判断したらしい。中継のカウントダウンはゼロまで続いており、中止の判断はなかなか外部には伝わりにくいようである。このあたり、「時刻を過ぎても打ち上がらず」と揶揄されているきらいあり。
 これも伝聞であるが、「姿勢制御のセンサーが異常であったため、通常の打ち上げシーケンスで19秒前にカウントダウンを中止した」のが真相なのだそうだ。

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