Zero Halliburton ZR2S-SI修理品受領


 今回、本体のプラスチックのスリーブの中に固定されるべき引き手の外筒が外れてどんどん引き出されてしまうというトラブルに見舞われたZero Halliburton ZR2S-SIを、ホームページの指示に従って、大阪のサービスセンターに送った。スーツケース本体は、ほとんど耐久消費財として作られているのに対して、引き手と車輪の方は所詮消耗品である。もし部品がなくて修理不能と言われたら、引き手の部分を外してリベット穴を埋めてもらって、車輪付きキャリーカートを携行するようにしようかと考えていた。本体の車輪の直径は約3インチ、マグナカートの方は6インチである。3 kgのマグナカートを別持ちするのは骨が折れるが、これに載せれば天神地下街の「悪路」もらくらく乗り切れそうだと期待した。ところが、部品交換なしで修理が完了し、本日代引きで返送されてきた。国内オーソライズドディーラーとの直接取引で入手したわけではなかったことから、ほんとにlifetime warrantyが適用されるのか心配したが、往復の送料のみで修理自体は無料となった。しかしまあ、耐久消費財の部分を愛している筆者のようなファンには、消耗品の部分が簡単に分離できるデザインがありがたいと思われる。市販のカートをうまく一体化して使って、壊れたら切り離すというようなデザインの改良ができないものか。
 送り出す時には本体にそのまま宅急便の送り状を貼り付けて出したのが、プチプチに包まれて段ボール箱に入って戻ってきた。筆者などはゼロを荷物の外殻と認識してしまうので、これはかなりオーバーな梱包ではないかと悩んでしまうが、サービスセンターの方々にとっては、これが梱包して出荷すべき商品であることに気がつくのに、数日を要してしまった。
 あまりにも頑丈で、いつまでも新品のような外観であるから、「少し凹んでくれないと持ち歩くのがこっぱずかしい」とどなたか書いておられるのを拝見したことがあるが、筆者も、大事に使いながらも使い込んだアルマイトの弁当箱のような風合いに早くならないかと、矛盾した期待を抱いている。その深層を分析してみると、「ははあん、こいつゼロハリバートンに使われているな」と思われることに対する警戒心があるだろう。理想はこんな感じであるが、頑丈なので少なく見積もってもあと十年はかかりそうに思う。
 さて、いまどきのスーツケースは(たとえゼロのブランドであっても)より軽くより強くさらに安価なポリカーボネート素材のものが多い。航空各社の18 kgの制限重量のうちの7 kgがZR2S-SIの重さというのは、11 kgの中身しか持ち歩けないということである。軽ければ軽いだけ、より多くの荷物を詰めることができるというのが、モダンな旅行かばん開発のパラダイムであろう。それでも、ターンテーブルに登場する旅行かばんを眺めていて、機能美に惚れ惚れするようなものになかなかお目にかかることは少ない。古風ながらアタッシュケースをそのままブローアップした、ほとんど凹凸のない美しすぎるジュラルミンゼロハリバートンには、自意識過剰が過ぎるというものであるが、乗客のみなさんの敬意のこもった視線が集まっているような気がする。できればコンベヤの最後まで流して、見せびらかしたいとさえ思う。

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