小川保喜、杉野辰雄、山本博達(編):北九州の自然―植物・動物・昆虫・鉱物・地質と採集ハイキングコース―、六月社、1966

 日本の古本屋で発見して本日到着。
 扉には地質図も掲載されているが、サブタイトルの通り地質学にとどまらず、地方の自然科学の専門家が執筆を担当され、おすすめハイキングコースの提案まで掲載されている、素晴らしい自然科学の啓蒙書に出会えたことにたいへん驚いた。自然観察の書というのは、内容が古くなると使えない情報が多くなるとも考えられ、そのあたりが現在に再版されることのない理由であるかもしれない。
 筆者が本書を通読して感じたのは、九州北部で自然科学教室の会報の総集編を作るとこうなるであろうという内容である。「自然科学教室」というのは、かつて小学生高学年の頃に、参加していた今治自然科学教室で、地区の小学校の有志の教員の先生方によって運営され、月に一度タイプ印刷の会報が配られ、バスで地質見学などに出かけるのである。48周年を迎えて今でも続いているとは心強い限りである。
 上の子が14日の佐賀市での試験の準備のため、13日の晩から宿泊する予定と聞いたのに触発され、便乗していくつか立てたプランのうちの、あまりランクの高くないワンダースポット候補の一つが津屋崎であった。ところが、本書を拝読して、津屋崎方面には別の楢ノ木大学士系スポットがあることを知って、一挙に魅力が爆発。
 なお、本書は六月社の「自然」シリーズの一冊である。1966年発行の絶版本であるということもあるのであろう、六月社の本はamazon.co.jpのデータベースにはほとんど見られないが、後付ページの広告によると合計26冊(1966年7月現在近刊予定の13冊を含む)におよぶ鉱脈を発見したことも大きな収穫といえよう。ちなみに、日本の古本屋さんには15冊の揃いを出品している例がある。

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