コンパクト3Dデジカメ of the year

 国際宇宙ステーションでも記録カメラとして用いられているというFujifilm FinePix Real3D W3。背面のディスプレイで直ちに立体視できるのが、他社同機種にはない特徴である。
 あまりにも立体感のある状態で記録できるので、野外彫刻の3D画像ライブラリの着想を得たのである。もともと野外彫刻は網羅的に捉えることが難しいので、インターネットのブログなどにアップロードされた画像を画像検索するのが、刊行物よりも数十倍網羅的で、インターネット上に分散データベースがあると考えられる顕著な例なのである。実際に設置場所に行って拝観するという体験にまさるエクスピアリアンスはないけれど、3D画像なら少しだけリッチな体験になるのではないかと考えたのである。
 野外彫刻の場合、被写体は大地にしっかり固定されているので、光線の具合を調節するには太陽が天空を移動するのを待つか、レフで光を回すか、人工光で照明するかしかない。しかも背景をうまく整理することが難しい場合も多い。具体的には雰囲気にそぐわない看板が写り込んだりするわけである。名のある写真家の手になる野外彫刻の写真集では、このあたりのことはレフで光を当ててディテールを描写するとともに、絞りを開けて被写界深度を浅くして背景をぼかすことで主題を浮き上がらせているのである。
 ところが、コンパクトデジカメの場合、レンズの焦点距離が短いので多くの場合パンフォーカスになってしまう。FinePix Real3D W3のフジノンレンズの焦点距離も6.3mm〜18.9mmなので、背景がアウトフォーカスにならないことが多いのである。ただし、背景にフォーカスがきていても主題が浮かび上がってくれるという3D画像の特徴があるので、2D写真術とは写真の構成が異なっていてもよいのかもしれない。それでも、雨の日の夜に大光量のスピードライトで照明して撮影すれば、光の加減で主題を浮かび上がらせることができると予想するのである。3Dデジタルフォトグラフィーを野外彫刻の記録に応用しようとする際のもうひとつの問題点は、横長のハイビジョン画角を縦長に構えて撮影すると、横倒しの像としてしか鑑賞できないことである。
 

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