ロシア軍実物フィッシングベスト

 Rothco Photojournalist vestを使い込むほどに、ベストのデザインが機材のデジタル化に取り残されていると感じるようになった。カラーバランスが調整できるようになって、右胸のフィルターポケットに収めるべきフィルターはなくなってしまったし、未露光と露光済みのフィルムを振り分けて入れたであろう左右のポケットに入るのは、メモリーカードケースと野帳とLEDライトである。携帯電話は、その右の内ポケットにうまく収まるけれど、雨に濡れてショートすると危ないリチウムイオンバッテリを安全にしまっておく場所がなかなか見つからない。また、ジャーナリストと銘打ってある割に、ボールペンを入れると不自然にはみ出す。
 昨年の夏に使ったメッシュベストには、バッテリを一個ずつ収められるポケットがあって良かったが、ポケットの総数が少なすぎる。いろいろなものを同じポケットに入れておくと、迅速に取り出せず、別のものが滑り出てしまう危険性もある。
 理想のポケットをもつベストを、amazon.co.jpamazon.comで捜索してみるのだが、なかなか芳しくない。いまどきのカメラメーカーは、ロゴ付きベストは作らないようである。業を煮やしてgoogleで画像検索してみると、よさそうなベストが見つかった。すべてのポケットがファスナーかベルクロで閉じることができる点もポイントが高い。
 その品名がロシア軍制式の「フィッシングベスト」であるというので、何となくボルガ河河口に停泊した巡洋艦に、このベストを着用した水兵さんが整列して食料の魚を釣っていたりする光景を想像してしまうが、もちろんそんなことはないと思う。制式であれば、今のベストがすりきれてしまった何年か後に、きっと同じベストを購入できるに違いない。
 ところで、この中田商店アメ横のミリタリー「放出品」ショップである。そう聞くと、《凍河》の主人公が、レイバンのサングラスを放出品で買って、レンズだけ入れ替えてかけていたという記述を思い出す。朝日新聞朝刊に連載されていた頃、筆者は高校3年であったと思うが、レイバンのフレームと放出品については忘れがたい印象がある。そのお店が神戸の元町にあったか、アメ横にあったか、今は確かめるすべがない。[野外活動]

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