Visicalcを祖先とする表計算ソフトウェア族の中で、ExcelやNumbers、あるいはOOo.orgを使っている方は多いと思うが、Mariner Calcも歴史の古いソフトウェアである。Mac IIでExcel 2とMariner初版を使い比べたような記憶がある。当時のMarinerはNiftyのMacAppフォーラムからダウンロードできるようなシェアウェアではなかったかと思う。その後version3の日本語版がぶーぶーぶーであったか、あるいはパスカルから購入できるような時代が来て、その後開発者が代替わりしてMariner software社から購入できるようになったことは、以前にもご紹介したとおりであるが、最近ではiPhone用あるいはiPad用も出ている。iPhoneにフリー版のMariner Calc for iPhoneをインストールしてみると、iPhoneにおいてさえシートのサイズが32,000×32,000であるという徹底ぶりに感激してしまった。
筆者にとって、ある種のナンバークランチングなミッションを遂行する上で、Mariner Calcは、スプレッドシートのサイズの上限が32,000×32,000であるというスペックにおいて、256×256セルしか使えない凡百のスプレッドシートプログラムとは一線を画するわけである。もうリボンと呼ぶGUIで操作系がわからずオロオロするとか、おせっかいな補完機能でデータが台なしとか、それはそれで問題であるが、スプレッドシートのサイズが小さすぎて世界の端からデータがこぼれ落ちるというのは致命的である。
先週来プロシーディングスの元データをExcelに読み込んで、データの順序を並べ替えたり、間にタグを打ったりして文書整形をしていると、見えない壁につきあたるようになって、「これ以上カラムを挿入することはできません」エラーとか、「256カラム以降は読み込みません」アラートが頻発するのである。
今回機能評価版をダウンロードできて、たいへん助かった。その一方で、2006年3月バージョン5.5購入時の受払書をGmailで検索して見つけたシリアルナンバーがまだ有効であったことに驚く。この5年の間にMariner Calcの方は1つだけマイナーバージョンアップしたきりなので、当然といえばそれまでである。表計算ソフトに高級プログラミング言語並みのマクロを実装しようなどと考えれば大変であろうが、筆者の使おうと考える関数程度ならすでに30年も前に完成していたはずであるが、この枯れたバージョンアップはひょっとすると、あまり勝ち組ではないせいかもしれない。あるいは本当の負け組が無意味なバージョンアップをしきりに行っているだけとも言える。[Mac OS X]