いまのところ、Ai-s Nikkor 400 mm F3.5[ED]を使っていてその性能に文句はないけれど、三脚を含めて運搬の大変さに音を上げる日が遠からず来るのではないかと心配である。それで、ここのところ◯ジヤカメラさんの在庫リストで、Canon FD 300 mm F2.8LとかFD 400 mm F4.5 SCCとかAi-s Nikkor 300 mm F4.5 [ED]あたりの、400 mm F3.5よりもやや短いか暗く、軽量のレンズを眺めてきた。軽量というところで妥協するのは、人生に対する態度としては後ろめたいのであるが、観測定点にカワセミが戻ってくると仮定して、夕暮れ時のダイビングをハイビジョンムービーで撮るならば、焦点距離短めの部分をデジタルズームで引っ張るのと、暗いのを撮像感度アップで持ち上げるのと、どちらの方がよい画質になるのか、というような思考実験を行ってみるのである。なかなか明解な結論が得られないので実際に購入して実験してみたいと考えているうちに、実験用機材候補はどんどんリストから落ちていく。
気がついてみると、それらよりもかなり短いが抜群に明るいPentaxの高性能レンズが入荷していた。以前どこかのカメラ店さんの中古のページに約8万円と記憶するSigma製の135 mm F1.8(後日記:Vivitar 135 mm F1.5であった)を見つけたことがあったが、yadiwonewsでたどることあたわず。今回の「幻のレンズ」の価額14万円は、もう血がたぎる状態を通り越して、冷静にセールスレコードを記録しておこうと心がける状態である。同じクラスならCanon FD 135 mm F2があって、これはFD中望遠3姉妹の長女であるが、価格帯はかなり安く設定されている(ように思われる)。その違いがF1.8とF2の違い(レンズ口径としては75 mmと67.5 mmの、たった7.5 mmの差である)で醸成されているのならば、これは数字のマジックとも一種のブランド信仰とも考えられるのかもしれない。
さらに、スーパータクマー17 mm F4も発見。かなり以前、天神のドイカメラでRussar 20 mm F5.6を購入したときに、その隣にこのレンズがあって価格はどちらも6万円台で、どちらを買うか悩んだことを思い出す。実用中古レンズ特選100本ガイド―中古レンズの買い方を徹底紹介! (Gakken camera mook―CAPAレベルアップムック)によれば、魚眼レンズのベストセラーの由。子どもの頃父親の買ったAsahi Pentax SPIIについてきた小冊子では、対角魚眼レンズの目の前に広がる世界をフィルム面にぎゅっと凝縮させるような魅力があますところなく表現されていた。と今さらに思う。いまどきのデジタル一眼では、単に歪曲収差の強い準広角レンズになってしまうのが残念で、それが価格の安さにつながっているのであろう。[もっと光を]