食分率89.8%

 9時頃にはベタ曇りであったが、薄雲を通して時々は影が差していたので、代休を使って撮影することを決定。
 26年前の8月の部分食の際には、Nikon F2に自作300 mmほどのピンホールレンズを準備した。サランラップか何かの紙筒の内側に墨を塗って乾かし、先端に縫い針できれいに真円の穴を開けたアルミフォイルを貼り付け、反対側はNikon Fマウントのボディーキャップをくりぬいて紙筒を固定するのである。poorman's望遠レンズでも欠け方を見るくらいなら十分実用になったのも懐かしい記憶である。
 今回はどうやって撮影するか。実は何も考えてなかった。カメラはNikon F2など下取りに出して跡形もないのは言うまでもなく、Lumix G1を使う。ある程度の焦点距離のあるレンズが望ましいが、デジタルズーム2×あるいは4×を使うとまずまずの拡大像が得られることは実証試験ずみである。日食グラスをレンズの前にかざすとうまくいきそうなので、もっとも口径の小さいFD 80-200 mm F4をLumix G1につけて待機。
 普通の一眼レフカメラ―ぎんしおであれデジタルであれ―で、ファインダーで太陽を直視すると当然目がやられてしまう。ところが、Lumix G1はビデオカメラと同じくCCDで撮像した画をモニターするファインダーなので、太陽光線そのものはファインダーを通り抜けてこない(ので目をやられることはない)。日食グラスを外す前に一応レンズの絞りはF22に絞り込むが、それでもCCDは傷むのに違いない。厚い雲を通して肉眼で眩しくなく見えるときには、もちろん日食フィルタを外して充分写るわけである(が、雲から出た瞬間普通の一眼レフカメラなら目をやられてしまうはずである)。という具合に、Lumix G1は日食撮影におあつらえ向きではあるのだが、他の普通の一眼レフカメラを併用していたら、わかっていてもついファインダーをのぞいて目をやられてしまったかもしれない。厳重なる注意が必要である。
 三脚に載せて、手で日食グラスをかざしてリモコンレリーズで連写していると、見透かしているかのように腕に蚊が止まって血を吸っているのに手がふさがっていてはたけない。グラスをレンズに押しつける指の揺れも気になる。蚊遣りスプレーを吹いて、日食グラスをレンズ先端にセロハンテープで止めてやっと安定した撮像が得られるようになる。一瞬たりとも雲は切れなかったので、あくまでも雲のベール越しに拡散した光を撮像しているにすぎないのである。そのためであろう、事前に喧伝された、木々の葉っぱの影が欠けた太陽の形になる現象は認められなかった。
 鹿児島はあいにく天気に恵まれなかったようである。
 

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