サイモン・シン:フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで、青木薫訳、新潮社

 メガ本屋さんの書棚と通路に積み上げられた在庫数万冊を一応隅から隅まで拝見して、自分へのクリスマスプレゼントとして、この一冊。
 300年もの間、天才の挑戦をことごとく拒否してきた一見簡単そうな超難問が主人公の物語である。ワイルズ博士が、全く無関係に見える谷山−志村予想を証明することでこの難問を解けたのは、まさにピュタゴラス以来の天才の築いてきた業績を縦横に駆使するセンスと力によるものである。ということを説明しようとすると、300年間の天才の人となりと、業績の本質が理解できないといけないわけであるが、そのともすれば退屈になりそうな部分を推理小説のように楽しめるのが、著者サイモン・シン氏の非凡なところである。フェルマーの最終定理にまつわる数学史の書として読むべきなのに、プロの数学者にも難解な証明がすっかり理解できたような気になってしまうのは困ったものである。
 引き込まれるように最後まで一気に読み通してしまったのは訳者の力量によるところも大きいと思われるが、訳者略歴に曰く「訳書に、(中略)カール・セーガンカール・セーガン 科学と悪霊を語る』(新潮社)などがある。」。amazon.co.jpのユーズドブックストアで注文して目下到着を待っているあの本の訳もなさっていたか。という奇しき縁に一驚。
 それはともかく、150ページ位ある最終定理の証明論文の最初のページがp. 337に転載されているのであるが、これがみごとにAMS-TEXで組んであるのに感動。

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

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