室見川西岸が日陰に入る頃、東岸沿いを走っていると、風もないのに葦の枝が揺れていて、そこからダイブしたカワセミが水しぶきを上げて飛び去っていくのを、カメラを抜く暇もなく呆然と見送ること3回。これはもう、コンマ数秒のタイミングなので、背中に背負ったFD 500 mm F4.5LEOSマウント改の出番などない世界である。
某鳥の撮りかた本に書いてあるように餌付けでもせんことにはシャッターチャンスをものにできそうにないのであるが、カワセミを視るための視力がだんだん発達してきたのは間違いない。少なくともこのシーズンの目撃件数は過去6年分のそれを上回っている。
そういう、こちらの思惑通りにならないところが醍醐味なのであるとすれば、これは恋愛のかけひきにも似ていて、餌付けに成功したらその場で醒めてしまうものかもしれない。もうしばらくは、そ知らぬ顔をしてその行動を観察してみたい。[カワセミ]