Ultra-achromatic-Takumar

 1970年に父親がAsahi Pentax SPを購入したときに、カメラのマニュアルとともに「タクマーレンズの世界」というべき、タクマー交換レンズ群を紹介する小冊子が付属していて、そこには魚眼レンズから超望遠レンズまでタクマーレンズのレパートリーがカラーの作例写真つきで紹介されていた。洟垂れ小学校6年の筆者は、父親の目を盗んでは、この小冊子を繰り返し巻き返し読んだものであった。タクマーレンズを全部揃えたいというような欲望のルーツは、この刷込み体験に違いない。
 というようなことはすっかり忘却してしまった34年後。この間、ほんだらけで購入した「Pentaxのすべて」本に紹介されていたウルトラアクロマチックタクマーレンズとは、一体何であろうか、そんなレンズは見たことも聞いたこともない…と心に引っかかっていたのであった。だが、クモハ159-1さんのページで再会したこの冊子の、若い女性の差歯やヅラが暴露されてしまう可視光線、赤外、紫外光による撮影例の、あのレンズであったのか!と34年間の時空を超えて記憶がよみがえってきたのであった。
 ちなみに、この小冊子のほとんどの記憶は顕在意識からは消えているのに、マジョルカ島と聞けば、34年の間ずっと、この憧れのおねえさんが反射的に思い出されるのであったことに気づかされた。このセパレーツの水着のおねえさんの写ったページを開くだけでもドキドキしていた時代、日本もわが家も貧しくて、マジョルカ島は月の向こう側くらい遠かったわけであるが、あの頃に戻っておねえさんに会いたい。

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