彼女は、誰かにチョコレートをあげたのであろうか。

 4年位前からのクライアントで、清楚を絵に描いたような若い女性がいる。20台前半の女性ならもっとお洒落を楽しんでよいのではないかと思うくらいのチープシックで、茶髪でもなければ化粧っ気もほとんどなく、いつも適度に短い爪にはマニキュアもなし。礼儀正しく気品ある態度は好感度抜群であった。よせばよいのに音楽関係の方かと探りを入れたことがあるがそうでもないらしかった。
 しばらく来訪のなかった彼女が准看護婦の学校に行くことにしたので、と再び現れたのが2年前の今頃。彼女が看護してくれるなら、それだけで大抵の病は癒されるであろう。しかし、20台の半ばにさしかかった人生には別の道もあるのではないかとか、詮索は無用であるけれど、それまでは実は外資系ホテルのフロント係であったと種明かしを聞いてなるほどと思った。10才近く若い同級生と一緒の寮で生活するのはどうも…などと話していた彼女であったが、無事2年の課程を修了、国家試験前の準備期間を利用して、先日またまた現れた。合格すれば佐賀県の病院に勤務するという彼女の髪は、以前より5 cmほど長く、少しだけブリーチされているように見受けられたが、質素なたたずまいは以前とまったく変わらず…。

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