陸路帰還

 帰りは飛行機の便なく、明日の野良仕事に間に合わせるために昨夕の飛行経路を陸路引き返す。
 JRの特急、新幹線を乗り継げば、4時間半ほどで徳島駅から博多駅に帰ってこれるのであるから、福岡空港にチェックインしてからYS-11を降りて準急バスで徳島駅前バス停下車まで3時間かかったのと倍違うわけでもなし(徳島市内の想像を絶する交通渋滞がその一因なり)。
 徳島駅出発からしばらくは、EOS IX50で日没直前の斜光線に照らされた異国の風景を撮影。暗くなってからはカメラジャーナルを読みふける。高松あたりでついうたた寝しているうちに薄明も終了し、瀬戸大橋通過中の瀬戸内海の絶景は全く見ることあたわず。日が暮れてしまうと、単なる目的地までの移動手段になってしまうわけなり。
 数年前まで居住していた岡山市大元駅前周辺の高架工事が終わり、早朝は踏切から線路脇を歩いてホームに上がっていたのなど、既に昔話。以前、電化とともに故郷の今治駅の駅舎が木造のものから高架ガードと一体化した鉄筋コンクリートに置き換わり、蒸気機関車の給水塔も広い操車場も撤去されてしまったときには愕然としたものであったが、これもまた21世紀の内需拡大政策の賜物ならんか。今は一人の乗客として通り過ぎる風景のひとコマとして眺むるに、駅前の風景はすでに見たことのない西武沿線の駅の近傍のように見ゆ。
 岡山駅で買った栗ご飯弁当を食し、やぢをニュースを執筆するうちに博多駅着。新幹線ホームにはビデオカメラをもった『てっちゃん』が異常増殖して銘々無調法なるロケを敢行中。ご本人にはおそらく車両にしか意識はなく、乗客の肖像権を侵害しているなどとは夢にも気づいてはいないであろう、などとちょっと不機嫌になる。
 地下鉄に乗換え。下車予定の駅の二つ手前くらいからしばらく意識がとんでいたようで、あやうく乗り過ごすところであった。やはり疲れているようなり。

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