C. L. Stong《アマチュア科学者》

 今年はノーベルローリエートがたくさん出て、新聞にも続々とインタビュー記事が掲載されている。
 そういう時期にベッドに寝転がってiPadで自炊した《アマチュア科学者》を読みふける。本書は、1950年代のScientific Americanのコラム記事をまとめたもので、土壌の藻類の単離培養(原書には「土壌細菌の培養」の章があるが、訳本ではページ数の関係で割愛されたとある)とか霧箱(拡散箱)による宇宙線の観察などは、短絡的にはまさにローリエートの大村哲氏や梶田隆章氏につながるネタなのである。その他にも、別荘の地下室に地震計を設置してしまった大金持ちや望遠鏡の反射鏡からサイクロトロンまで自作してしまう方まで、まさに合衆国のパワフルなアマチュアが紹介されているのである。とりあげられたテーマは古びてはないにしても、真空管のならんだ回路図を復刻してもミリオンセラーにはなるまい。
 このコラムの次代か次々代の担当がおそらくマーチン・ガードナー氏で、普及し始めたマイクロコンピュータに関連するLIFEゲームやMandelbrot集合のグラフィックなどの話題も登場するようになる。このあたりが筆者には最も懐かしく感じられる時代である。

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