Lumix G1はPanasonicがおれのために設計してくれたカメラだ。という勘違い

 キヤノンFDレンズガイドブックLens Wonderland(1982年)は、ファッションカメラマンに愛用され一世を風靡したFDレンズのコンパクトな解説書である。
 作例写真は、(いずれも巷ではnew FDと呼ばれるが、本文中の記載に従えば)FD 70-210 mm F4, FD 85-300 mm F4.5, FD 35 mm F2, FD 200 mm F2.8, macro FD 100mm F4, FD 35-70 mm F3.5-4.5, FD 35-105 mm F3.5, FD 100-300 mm F5.6, FD 24 mm F2.8, FD 300mm F2.8Lで撮影されている。これらのレンズは、ある意味キヤノンがフォトグラファーにおすすめしたいレンズということになのであろう。
 さて、Lumix G1 WズームキットならばLUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.と45-200mm/F4.0-5.6/MEGA O.I.Sとがついてくる。これら2本で焦点距離14 mmから200 mmまでカバーされるので、アダプタを介してFDレンズを追加して導入するメリットがあるのは、この焦点距離範囲から外れるもの、またはカバー範囲内であってもF2.8よりも明るいものということになる。上記のおすすめレンズの中ではズームでカバーされない焦点距離としてはFD 85-300 mm F4.5, FD 300mm F2.8L、そして明るい光学系ということではFD 24 mm F2.8, FD 35 mm F2, FD 200 mm F2.8、マクロレンズとしてはmacro FD 100mm F4ということになる。ただし画角という点では、これらのレンズがすべて焦点距離の倍になるのであるから、既存のレンズがすべて標準から望遠レンズ方面相当になってしまうのはやむをえないところである。
 そこで、広角側は、本来はマニュアルでも焦点深度の深さを利用して撮影できる領域なのだが、どうしても純正マイクロフォーサーズレンズに頼らざるを得なくなる。来年初めには7-14mm F4, 14-140mmF4.0-5.6 O.I.S. HD, 20mm F1.7が発売予定とアナウンスされていて、このあたりも揺さぶられるところである。今の時点ではボディーだけ買っておいて、そのうち常用ズームとして14-140mmF4.0-5.6 O.I.S. HDを1本だけ調達するというのもひとつの考え方である。
 筆者はあまり標準レンズの焦点域は使わないけれど、例えば広角レンズとしてはあまり人気のなさそうなFD 20 mm F2.8が、40 mm相当の準広角レンズとしては魅力的に思える。どうせなら20 mm Rokkorレンズを40 mm相当で使うほうが由緒ある使い方なのであろうが…。
 FDの標準ズーム、望遠ズームは、すべて望遠ズーム、超望遠ズーム相当レンズにシフトする。むしろ45-200mm/F4.0-5.6/MEGA O.I.Sを買い控えておいて、しばらく5000円前後のお買い得ズームを使ってみるというのもなかなか悪くないのではあるまいか。画面中央の画質のよい部分を切り取って使うのであるから、周辺の光量低下とか歪曲などが問題にならないのも痛快なところで、まさにレンズ平等主義のボディーである。
 そして、特にステージ写真や星野写真で重宝しそうなのが、ニイニ、サンニッパ、ヨンニッパに相当するFD 100 mm F2, 135 mm F2.8, 200 mm F2.8である。本来「もっと光を」は大きくかさばるレンズを多少無理をしてでも持ち歩くところにその本質があったが、コンパクトなレンズを高性能望遠レンズに見立てて使えるのはマイクロフォーサーズのメリットといえるだろう。ステージの照明はそう明るいわけではないから、ストロボをたけるかどうかは別にしても、演奏者の動きがブレにならないシャッタースピードを確保するために明るいレンズが有利であるのは言うまでもない。多くの場合ホールの深さは行ってみないとわからないのでその場でレンズを選ぶことになるが、この3本なら総重量1.5 kgで難なく持ち運べる。これがほんとのニイニ、サンニッパ、ヨンニッパ3本なら総重量は軽く10 kgを越える。このダウンサイジングのうみだす機動力はなかなかみのがせないところである。さらにレリーズ時にミラーの作動音がしない、ショックがないというのも、三脚を立てて演奏中に使うのには大きなアドバンテージである。
 星野写真に関しては、最高感度がISO 3200まであることでファインダーで位置決めをするときに天頂付近を見るときに大変苦しい思いをしているが、可動式のLCDスクリーンつきならこれはずいぶんと楽である。というので、このLumix G1を設計した方がどんな方かわからないけれど、その卓見に敬意を表したいわけである。
 次に考えていただきたいのが、本体のCCDをシフトさせてあおりやティルトを使ったり、マウントアダプタにマイクロプロセッサを内蔵して他社のオートフォーカスレンズを完全に制御できるボディーではあるまいか。
 2008>December>22追記:勘違いと熟慮の末Panasonic デジタル一眼レフカメラ LUMIX G1 レンズキット コンフォートブラック DMC-G1K-Kを発注。14-45 mmレンズはばら売りしないということであるので、広角域はこのレンズでカバーすることにして、望遠側は50 mm(修理中), 85 mm F1.2, 180 mm F2.5, 300 mm F4, 500 mm F4.5とFDレンズ三昧境である(手振れ補正がほんとに必要なのは望遠側なんだけど、お金が届かない…)。24日到着のスケジュールに間に合わせたので、年末年始に試験撮像のスケジュールが組めるわけである。[もっと光を]

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