黄金週間のためか、はたまた多崎さん効果なのか、ケーブルTVで懐かしいATGのシネマがかかっているのを録画。
貧乏であった筆者が、西古松の一軒家に引越して、テレビをもらってビデオを購入したのは、実にNHK市民大学講座で西村公朝師の《祈りの造形》を録画するためであった。であるが、それにとどまらず、夏休み期間に深夜枠で放映された映画も予約したのであった。その中の一本が、村上春樹原作の《風の歌を聴け》だった。筆者にとっての村上春樹体験は、実にこの映画を発端とする。村上春樹氏はこのような映画化はあまり気に入らなかったようにも聞くのだが、ヒカシューや巻上公一氏のファンであった筆者と村上春樹氏を結びつけてくれた映画である。30年前の元町界隈も、この映画を何度も観た独身時代の筆者自身も、懐かしく思う。ただし、神戸を舞台にしているのに、ほとんど誰も神戸弁をしゃべらないという村上春樹ワールドの不思議さは、こういうふうに映像にしてみるとさらによくわかる気もする。
フレンチシネマ風の《夢への切符》で、バックに流れている三拍子の曲をShazamでつきとめようとするが、うまくいかず。オリジナルのサウンドトラックと考えるべきなのであろう。