しめやかに執り行われる。
当地の巳正月という行事で、お寺には本年亡くなった方のお位牌が並んでいた。今年亡くなった方のお正月を、12月に入って最初の巳の日にやるのだそうである。その数、月にお二人のペースと見た。巳正月では様々なことをあべこべにやるしきたりであるというお話をうかがい、この風習の起源は遅くとも縄文時代にまでさかのぼることができるのであろうと思った。服喪中の遺族への配慮という面もあるのだろう。
というようなことを考えながら、お経をあげ、お香を焚く。思えば、このお葬式に始まる一連の法事は、遺された人の心理的な外傷からの治癒という目的をたぶんに秘めていると思う。ただし、最も近しく、衝撃も大きかったと考えられるすみこばーちゃんは、入院したきりで不在であり、あとの遺族は娘二人以下わりとサバサバと割り切った考え方の人が多いことから、隠された意図としてのメンタルケアも何となく空振りに終わっているような気がしてならない。