日曜日の午後を《カノッサの屈辱》を観ながらゴロゴロ過ごす。昨年の正月にケーブルTVで一挙放送されたものの録画である。その中で現代オーディオ史の回があったのだが、製作年代はCDの御代でもちろんMP3オーディオなど影も形もなかった頃である。長岡(京)のレコード針から、カセットテープを経てCDにいたる歴史を懐かしく拝見した。
ジャズピアニストSadik HakimのアルバムPiano Conceptionは、1977年レコード発売直後にNHK FMで全曲紹介されたのをカセットテープに「エアチェック」したのをずっと聴いていたが、原盤はなかなか入手困難であった。それを1979年か1980年のクリスマスイブに梅田の紀伊國屋書店のレコード売場で発見した時には、神に感謝する思いであった。筆者には、親しみやすい佳曲が多いのだが、CDの時代になっても、MP3の時代になっても、入手困難が続いているということは、あまり話題にもならず、時代の流れに忘れられてしまったということであろうか。筆者はその針が傷に当ってノイズが入るところまで覚えているくらい聴き込んだレコードから自炊したMP3を聴いているのであるので、それなりに愛着があるけれど、曲が進むにつれて針が埃を拾ったりして歪が増えてくるのは残念である。CDは無理でもマスターテープからデジタル化してダウンロード販売してもらいたいものである。
先週の暗号文書作成にあたり、集中するために流していたのは、GXRであった。youtubeで公開されている6曲を満遍なくヘビーローテーションした。電子楽器で奏でられているが、smoothjazzとは言わず、chillout系と呼ぶらしく、決してシャカシャカしていない。《Dazed》は、最初に聴いて気に入った曲であるが、入手可能な曲の中では、最もポップな曲であったかもしれない。《5 A.M.》は落ち着いたテンポで、ちょっと翳りのあるコード進行とビブラフォンにPierre Moelan's Gongを彷彿とさせられる。《Fade Away》も、スローでメローなキーボードとボーカルが映画音楽のようにドラマチックに展開をする。ボサノバ系の《Time and Tide》も良い曲で、ほとんどはずれのない完成度の高さなのであるが、CDは廃盤のようであるし、MP3の販売も行われていない。残念なことだ。筆者のストライクゾーンがロングテールのはるか彼方に行ってしまったのであろうか。
- アーティスト: Gxr
- 発売日: 2008/02/12
- メディア: CD
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