カオス理論でしか説明できないであろう某委員の言動を考えているうちに、ふと同じ理論から派生した美しい風景のことを思い出す。なぜこれほど人をいらだたせるものと癒すものが同じ理論から対になって生まれて来るのであろうか。
ピートジェンさんの本は、筆者の本棚にもあるのだが、その発端はScientific Americanのガードナーさんの数学パズルのコラムであった。1987年当時はCで書いてコンパイルしたバイナリでPC-9821(たぶん8 MHzくらいのV20かV30という16 bit CPUがのっていた)を使って一昼夜かかって計算したデータを、16色表示のディスプレイにRGBそれぞれ16階調で表示させ、Nikon F2で3回多重露出すると、やっと4096色のフラクタルを印画紙上で見ることができたのであった。各色の露出時間を変えるとカラーバランスも変わるという、楽しい作業であったのだが、構図を選び、色味を選ぶだけで数日かかっていたはずである。その当時、ピートジェンさんがどのようなハードウェアをお使いであったのかは記憶にないけれど、この時代に、すでに美の領域に達するのは、容易ならざることであったと思われる。
もちろん、これは20年も前の話で、平成の御世のPowerMac G4には、リアルタイムで計算してフルカラー表示するスクリーンセーバーさえある。計算機パワーは、バス幅4倍、クロック数150倍、CPU数2倍を掛算すると1200倍なのであるが、どう考えてもあと4倍は早くないと計算が合わない(バスクロックかSCSIのスピードか)。
The Beauty of Fractals: Images of Complex Dynamical Systems
- 作者:Peitgen, Heinz-Otto
- 発売日: 2012/07/31
- メディア: ペーパーバック